水無月ネクの雑記、備忘録

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『キャラテーマ曲歌詞乗せ方式』が2曲あるキャラが…どうしても出揃わない『方式』曲(ときメモ2)


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前回の記事で触れた『キャラテーマ曲歌詞乗せ方式』であるが、先日の記事で触れたとおり、全キャラ分出揃うまでには紆余曲折を経た。更に、なんとときメモ2のヒロインの中には、この『方式』曲が2つあるキャラまでいるのである。1キャラに1つしかないキャラテーマ(例外的に2つ:八重花桜梨)に対して、全く異なる歌詞が乗り、編曲がなされている。まるで『ムーンライト伝説』と『夢はマジョリカ・セニョリータ』のように──。(これ、ムーンライト伝説は知ってるけどもう一つは何?と思う方は調べてみてください。面白いのでw)

何故このようなことが起きたのか?例によって明確な答えがあるわけではないが、推測していこうと思う。

 

ヒロインごとに2つの『方式』曲が作られたタイミングとして、各ヒロインに対して多くの『方式』曲が発表された『ときめきメモリアル2 ボーカルトラックス』(以下ボートラ1)で1曲目、各ヒロイン名義でリリースされたシングルCD『ときめきメモリアル2 Blooming Stories』(以下ブルスト)で2曲目というパターンがある。該当キャラは以下の2人。

寿美幸

1曲目『大吉頂戴!─はっぴぃちょーだい─』

2曲目『ふぇあ・あ~・うぃ・ご~いん?』

八重花桜梨

1曲目『桜樹のささやき』

2曲目『星空の夜に』

この二人のうち、先述の通り、八重花桜梨に関しては、そもそもキャラテーマ曲自体が、同じ曲を暗い曲調(春を待ちわびて 第一楽章)と明るい曲調(春を待ちわびて 第二楽章~雪どけの流れ~)の2曲に分けた形で作られている。第一楽章が『桜樹のささやき』、第二楽章が『星空の夜に』としてそれぞれ出来上がっていったということであれば、『方式』曲が2つあることはある種必然とも言える。

寿美幸の場合はどうか。寿美幸のキャラテーマ曲『不幸のジジョー・・・』に対しても、第二楽章と言えなくもない曲として『美幸は”B・L・U・E”』が存在するが、この曲は『不幸のジジョー・・・』のテンポとキーを下げ、どんよりとした曲調に仕上げたものであり、美幸の『方式』曲の基になっているとは言い難い。美幸に関しては『不幸のジジョー・・・』ただ1曲を基にして、2曲の『方式』曲が出来ている。

 

寿、八重とは少し異なった経緯で、隠しキャラである白雪真帆にも、以下2曲の『方式』曲がある。

1曲目『LOOK AT ME!』

2曲目『わかってよ』

異なる経緯の説明のために、白雪真帆というキャラについて。白雪真帆とは、メインの攻略可能ヒロインである白雪美帆の双子の妹。ときメモ2のゲーム本編中において、美帆をデートに誘うとまれに真帆が現れる。真帆は表面上美帆のものまねをしているが、会話をすると趣味嗜好が美帆と正反対であることがわかる。この「いつもと違う美帆」との仲を深めていくと、卒業寸前に自らの正体を明かしてくれるというストーリーである。つまり、高校生活3年間の内は、主人公(≒プレイヤー)は、「いつもと違う」様子も美帆の一部であると考えているため、真帆にはキャラテーマが用意されていない(デートにはほぼ見分けがつかない姿で、美帆のテーマで現れる。真帆用にテーマを分けてしまえば正体がバレバレになってしまう)。

ちなみにときメモ2の攻略可能キャラクターは、メイン10人、隠し3人の計13人。真帆のほかにも2人隠しヒロインが存在する。しかし真帆以外の2人は、誰かに紛れるように隠れているわけではない(発見してしまえば主人公もプレイヤーもそのキャラ本人を認識する)ので、ちゃんとキャラテーマが存在する。白雪真帆だけが、唯一ゲーム本編中にキャラテーマが存在しないのである。

そんな彼女にキャラソンが用意されたのが『ときめきメモリアル2 ボーカルトラックス2』(以下ボートラ2)である。この1つ前にリリースされたアルバム『ボートラ1』の時点で、10人の『方式』曲が6つ出揃った。残りの4曲は、先日の記事で推測したが、何らかの事情によって、登場が『ボートラ2』よりもずいぶん後になった。

↓↓先日の記事↓↓

minaduki-nek.hatenablog.com

『方式』曲は1曲も収録されていない『ボートラ2』。白雪真帆には『LOOK AT ME!』が初めて用意された。しかし、白雪真帆にはそもそもキャラテーマが無いため、当然これも『方式』曲ではない…はずなのだが、この『LOOK AT ME!』を基にして、『恋の選択』という白雪真帆のキャラテーマが作成され、ときメモ2の外伝的ストーリーであるゲーム『ときめきメモリアル2 Substories Dancing Summer Vacation』(以下DSV)内で使用された。つまり『LOOK AT ME!』は「遡って『方式』曲になった」のである。

更に『恋の選択』に歌詞が乗る形で『わかってよ』が作られ、DSVの白雪ルートエンディングの曲になり、白雪美帆&真帆名義のブルストに収録された。

彼女の場合、先に1曲のキャラソンが出来、それを基にキャラテーマ曲が出来、更にそこに歌詞を乗せた『方式』曲があるという流れとなる。

時系列を整理すると以下の通り。

2000年5月10日 アルバム『ボートラ2』発売。『LOOK AT ME!』を収録。

2000年9月28日 ゲーム『DSV』発売。ゲーム中のBGMとして、白雪真帆キャラテーマ曲の『恋の選択』、白雪ルートエンディング曲として『わかってよ』を収録。

2000年10月4日 シングルCD『ブルスト 白雪美帆&真帆』発売。『わかってよ』を収録。※『DSV』と連動して寿、八重、白雪の『ブルスト』は同時発売。

このような、強引とも思える変則的な経緯で、白雪真帆にも『方式』曲が用意されたのである。

 

さて、この『方式』曲ダブり問題の当事者は、寿、八重、変形で白雪真帆である。その共通点は、ときめきメモリアル2の外伝シリーズ1作目『DSV』のメインヒロインであるということ。

外伝のメインヒロインに抜擢されると、そのヒロインごとにシングルCD『ブルスト』が発売され、『方式』曲が収録される──そんな法則性を読み取ったのが当時の水無月ネク。『DSV』では、既に『ボートラ1』で『方式』曲が示されているキャラが抜擢された(寿、八重)ため、今後新しく外伝が出来る際は、『方式』曲が既にあるキャラには再度、『方式』曲がまだ無いキャラには新しく曲が作られるのだろう、と予測していた。しかし、外伝第2弾『ときめきメモリアル2 Substories Leaping School Festival』(以下LSF)にて早くも予測は外れることになる。

『LSF』のヒロインは赤井、一文字、伊集院。それぞれの『ブルスト』においては、赤井、一文字に『方式』曲、伊集院には完全新曲が用意された。

更に外伝第3弾『ときめきメモリアル2 Substories Memories Ringing On』(以下MRO)のヒロイン陽ノ下、水無月、麻生、佐倉に関しては、水無月に『方式』曲、あとの3人には完全新曲となったのである。

白雪真帆に対して、やや不自然な経緯を経てまで『方式』曲を用意したにも関わらず、なぜ『ブルスト』で改めて全キャラに『方式』曲を出揃わせなかったのか。

 

ここからは完全に憶測で、開発現場での方針の推移を書いてみようと思うので、話半分以下で読んでいただければと思う。

「『ボートラ1』でキャラクターのテーマに歌詞を乗せて曲にしたものをいくつか作った。あれを全キャラ分揃えて外伝のエンディング曲にして、『ブルスト』の1曲目に収録しよう!すでに作ったものはリメイクしよう!」

当初の考えはこんな風だったのではないか。しかし、考えを詰めていくにつれて…

「赤井と一文字の『方式』曲は曲調が勇ましく、ヒロイン感があまり無いけど、『LSF』のエンディングはまだ卒業じゃないし、これからも元気に仲良く過ごしていくってことでまあOKかな…しかし、伊集院の悪のボスみたいなキャラテーマだけはどうにもならんな…」

こんな感じで伊集院には新曲が出来たのかなと。更に…

「『MRO』は卒業どころかその後まで描くシリーズ最終作。陽ノ下、佐倉、麻生のキャラテーマのような、元気いっぱい!さあこれからだ!みたいワクワクした曲調はハマらないな…水無月のキャラテーマは穏やかだし、ようやく歌詞ともバランスが取れた『方式』曲が完成したからこれで行くか…」

といったところだろうか。結局陽ノ下、麻生の曲は、これからの日々に焦点を当てた曲になり、佐倉の曲は、これまでの遠距離恋愛を総決算するような曲になった。

 

徐々に綻びが目立つような印象の、ときメモ2における曲作りの経緯。何が原因でこうなっていったのか。それは製作現場の「ライブ感」によるものではないかと推測する。

まずはゲーム本編を作ってる最中。

赤井と伊集院はライバル…赤井はヒーローものが好き…対照的に伊集院の曲は悪のボスのように…

一文字の兄は不良の番長…〇ザ〇ザ〇ー〇の〇守〇…

といった調子で、この3人周りのキャラテーマ曲を「面白おかしく」したことによって、全員分の『方式』曲をギャルゲーのヒロインらしく仕上げるのが困難になってしまった。

このため『ボートラ1』で『方式』曲が出揃わず、この3人の『ブルスト』でも伊集院の『方式』曲が用意できなかった。

そしてMROの開発時。

陽ノ下、麻生、佐倉にはすでに『ボートラ1』で『方式』曲を作っている…そして当初の方針からもう年月が経っていて、モチベーションがフレッシュではない…何より、卒業から更にその先を描くストーリーのエンディング曲なのだから、よりその場面にふさわしい曲を作りたい…

こうして、この時点で初めての『方式』曲となる水無月の分だけが用意され、あとの3人は完全新曲となったのではないか。

ここまで書いてきて、まるで方針が定まっていないことに対しての不満のようになってしまっていることに気が付いたが、そういうことを言いたいわけではない。

ギャルゲーらしからぬキャラテーマ曲を持つ赤井、伊集院、一文字と仲を深めていったときに見られるギャップは素晴らしいものだったし、『方式』曲の替わり?に『MRO』のエンディング曲を務めた3曲はまさしく名曲だった。「ライブ感」から生まれた彩りは、間違いなく強烈なものだった。

ただ、惜しむらくは、同じメロディラインに対して2曲が作られた労力。ときメモ2も、ときメモ初代並みに多くの楽曲が作成されたのであれば、その労力を惜しむことなく、バリエーションとして楽しめたのかもしれない。しかし、最終的にはヒロイン1人に対して10曲無いくらいの曲数に留まったときメモ2の楽曲展開。こうなると、同じメロディで2曲も作ってないで、新曲が欲しかったな…と個人的には思ってしまうのであった……

ネガティブな結論になってしまったが、どの曲も好きです!!!ときメモ2最高!!!

何なら今からでも新曲来てくれてもいいんですよw