男と生まれたからには、誰でも一生に一度は考える、キン肉マンの『超人強度(超人パワー)』について…というと大げさだが、キン肉マンを読んだことがある人なら考えるはずだし、読んだことが無い人でさえも「ガバガバ理論」の代名詞として聞いたことくらいはあるのではないだろうか。
詰めきれないところが多々あるものの、自分はこの超人強度について、ある程度の考えがあるのでそれをここに記したい。
ちなみにキン肉マンは、単行本全巻を一時期借りていたという程度なので、思い出したり調べたりしながら書いたものであることをご承知頂きたい。
超人強度(超人パワー)とは
超人強度(超人パワー)とは、超人が生まれた時や、人間から超人になった瞬間に備わる「基礎パワー」のような概念であり、明確に数値化されている。
一度備われば上がり下がりはしない、と作中で言及されているが、超人強度に相当な差がある下剋上が頻発するため、作中のパワーバランスの説明にならないケースが多い。
ウォーズマン理論
『ウォーズマン理論』と呼ばれるものがある。本来超人強度が100万パワーのウォーズマンが、その10倍である1000万パワーを誇るバッファローマンに挑む際、必殺武器のベアークローを二刀流にし、2倍の高さのジャンプから、3倍の回転を加えて突撃すれば1200万パワーだと主張するシーンだ。
この理論がおかしいとされる理由は枚挙に暇がないが、まとめると「ウォーズマンが精一杯やった総合力が100万という数字ではないのか」といったところだと思う。
自分はここに異を唱えたい。
超人も生き物であるから、鍛錬によりパワーやスピードが上がることも、創意工夫することも、実戦の中で閃くこともあるであろう。
突然だが『実況パワフルプロ野球』というゲームに、野球選手を育成する『サクセスモード』というものがある。主人公は野球に関するあらゆる練習を重ね「経験点」を稼ぎ、その経験点を用いてどの能力を向上させるか選択していく。
単純に能力値を向上させていくだけではなく、まとまった経験点があれば、特殊能力を習得することが出来る。(例:走力、肩力、スタミナなどの数値をアップ、「バント〇」「満塁男」などの特殊能力をゲット)
超人が実力を高めるプロセスもこれに近いのではないか。ウォーズマンは、超人レスラーとしてリングデビューしたその時(≒サクセスモードのゲームスタート時)の総合力が100万だったに過ぎない。この総合力には、発想力も含まれる。
100万という数字はウォーズマンにとって「ベアークロー1本で、スクリュードライバーを撃った威力」なのである。それだけで何とかなっているうちは、生まれ持った素質を大きく超えるブレイクスルーは起こらない。しかし目の前には自らの10倍のパワーの持ち主。今こそ進化する時なのだ。
ウォーズマンは、このバッファローマンとの闘いまでに、第2回超人オリンピックでの勝ち抜きや決勝でのキン肉マンとの激闘を経ているし、その後正義超人として修業もしただろう。「経験点」が貯まっているのだ。この経験点を発想力に振り分けると「スクリュードライバーにベアークローを2本使えないか?」となり、特殊能力『ベアークロー二刀流』を得られる。更に経験点を脚力や空中での身体操作に振り分けると、2倍のジャンプ、3倍の回転の見通しが立ってくる。すると、特殊能力『スクリュードライバー・光の矢』という閃きが起こるのである。
ウォーズマンは、自身の10倍のパワーと対峙し、絶体絶命のピンチに陥るという『強制成長イベント』を迎え、その瞬間にこれまでの努力、経験を血肉にし、そして光の矢となった──。
つまり「最初から光の矢になれよw」という批判は当てはまらないのである。なぜならウォーズマンは、まさにあの瞬間に進化したのだから。
以上が『ウォーズマン理論』に対しての自分なりの答えである。
振り分け自在!?バッファローマンのパワー
引き続き、バッファローマンについて。
バッファローマンは異色の超人である。元は超人強度100万の超人であったが、魔王サタンとの契約により1000万パワーを得た。
「生まれつきのパワーそのものが変わった」「これまでの最強がウォーズマンの100万なのに対して1000万は強すぎ」というインパクトが目立つが、何より重大なのは「1000万パワーから1パワーまでコントロール可能で、0パワーにまで落とすと代わりにスピードが光速に達する」という点である。
パワーが0だとスピードが上がるのか?パワーとスピードは同軸で対極なのか?と疑問に思ってしまうかもしれないが、『パワプロサクセス理論』に当てはめれば何のことはない。バッファローマンがサタンとの契約によって得た1000万パワーとは「何度でも瞬時に振り分けなおせる経験点」なのである。
バッファローマンは1000万ものフリーポイントを持っていて、戦況に合わせて瞬時にパワーやスピードに振り分けなおしているということだ。サタンの契約凄すぎるだろ…。
また、バッファローマンも、自らの上位互換とも言える強敵マンモスマン(7800万パワー)との戦いで『強制成長イベント』を迎え、過去の経験からの閃きによる特殊能力『超人十字架落とし』を習得し、マンモスマンからダウンを奪った。
理論を補強するその他の例
ここまでの『パワプロサクセス理論』とでも呼ぶべき理論を補強するような描写が、作中でいくつかなされているので列挙していく。
・2000万パワーズ
バッファローマン(1000万パワー)とモンゴルマン(97万パワー)のコンビ。足しても1097万パワーにしかならないが、モンゴルマンが「私には1000万の技があるので2000万パワーズである」と主張するもの。生真面目なモンゴルマン(ラーメンマン)は経験点を貯めこんでパラメータを上げているだろうし、特殊能力(スキル開放)も多い(例:キャメルクラッチ、レッグラリアート、ロメロスペシャル、九龍城落地など)ため、技の威力計算をすると1000万を超える瞬間が多いと思われる。
・プリズマン(5200万パワー)
全身がガラス張りでプリズムになっている超人。超人に対してのみほぼ確実に有害な「カピラリア七光線」が含まれている108のピースの一つから作られた超人で、自らのプリズムボディに太陽光線を取り込んで発射するカピラリア七光線からなる「レインボー・シャワー」を扱える。
この当たれば即死の危険すぎる技を攻略したのはブロッケンJr.である。ブロッケン一族は人間として生まれ、修行の末に認められた者のみに与えられる徽章を装着することで初めて超人となる。ブロッケンJr.はレインボー・シャワーを無効化するため、一族の特性を逆手に取り、徽章を投げ捨てることで人間の体に戻り、特殊能力『ブレーメン・サンセット』を決めた。
人間の体に戻ってしまえば、基礎パワーである超人強度そのものを失ってしまう。そのため、ブレーメン・サンセットは人間のパワーで放たれた技ということになる。超人強度5200万パワーのプリズマンがこれを外せないのはなぜか?答えは『パワプロサクセス理論』にある。
プリズマンは5200万パワーの大部分を「プリズムボディであること」や「レインボー・シャワー」に割いてしまっている。そのため基本的なパワーなどにかなり難があるのではないか。それ故に、ただの人間に戻ったブロッケンJr.の技が外せないのである。
いわゆる「ギミック系」(例:ステカセキング、ミスター・VTR、ミキサー大帝など)の超人は、同じようなポイント振り分けが行われており、総じて基礎的な運動能力が低いと推察する。
我らが主人公キン肉マンはどうなっているのか。なんといってもキン肉マンには『火事場のクソ力』がある。窮地に陥った時、超パワーが目覚めるといったものだ。これはそのまま、超人強度にダイレクトに作用していると思われる。「キン肉星王位争奪編」では、その強度は7000万パワーにまで達しているとされる。ただ、キン肉マンももちろん激闘に次ぐ激闘で経験点を貯めているし、特殊能力も相当数備えている。そのため、キン肉マンスーパー・フェニックスに対してのフィニッシュホールド『7000万パワーマッスル・スパーク』は、「超人強度としての基礎パワー7000万+キン肉マンのこれまでの経験点振り分けによるパラメータ上昇分+特殊能力マッスル・スパークの威力」となり、その最大瞬間風速は1億を優に超えるであろう。
おわりに
以上、コナミの野球ゲーム『実況パワフルプロ野球』から着想を得て、キン肉マンにおける超人強度について解釈を加えてみた。繰り返しになるが甘い部分が多々ある話なので、コメントいただければ嬉しいし、追記もするかもしれない。
ご精読に感謝。